技能移民カテゴリーの 6ポイント制とは
2023年10月に6ポイント制の技能移民カテゴリー(Skilled Migrant Category: SMC)が始まって以降、現在のニュージーランド永住権は、「6ポイント制」に基づいて審査されます。SMCでは、主に以下の2つを組み合わせて、合計6ポイントを満たす必要があります。
以下のいずれかによるポイント(3〜6ポイント)
- ニュージーランドの登録資格(occupational registration):3〜6ポイント
- 学歴(Bachelor、Master、PhD等):3〜6ポイント
- 高収入(中央賃金の1.5倍から3倍以上):3〜6ポイント
ニュージーランド国内での skilled work experience(1〜3ポイント)
- 1年:1ポイント
- 2年:2ポイント
- 3年:3ポイント
例えば、学士号・大卒資格(Bachelor degree)で3ポイント取得+NZ国内で3年間の skilled work experience を積むことで、合計6ポイントを満たすことができます。また、修士号(Master degree/MBA等)で5ポイント+NZ国内で1年間の skilled work experience や、特定の registration により単独で6ポイントを満たすケースもあります。
ただし、ポイントを満たしていても、それだけで永住権が認められるわけではありません。別途、ニュージーランド移民局(Immigration New Zealand: INZ)は以下の要件についても詳細に審査します。
- 技能職としての職務経験(skilled work experience)
- 収入/賃金
- job description と ANZSCO の整合性
- 登録資格または免許(registration / licence)
- 英語要件
- 健康・character 要件
本記事では、特に skilled work experience を利用するケースを中心に、SMC申請でよく問題となるポイントを解説します。
2026年5月時点
Skilled Work Experience の注意点
上記で説明したポイント制度の通り、多くの申請者は、永住権を得るためにニュージーランド国内で1年から3年の 技能職としての職務経験(skilled work experience)を積む必要があります。
多くの方は、自分は収入要件を満たしている、十分な職務経験を得ている、技能職としての雇用(skilled employment)に就いている、登録資格や免許(registration/licence)を持っていると思って相談に来られます。しかし、実際に確認してみると、INZの要件を満たしていなかったというケースがあります。SMCは一見シンプルに見えますが、実際には細かい要件が多く、注意が必要です。
a. 収入
申請時点の賃金が重要です。年収制の場合、単純に年収だけを見るのではなく、契約上の最大労働時間から時給換算されます。また、allowance、commission、bonus などは、必ずしも remuneration calculation に含められません。つまり、基本給だけでは要件を満たさない場合、追加手当で補えると思っているとリスクがあります。
現時点(2026年5月時点)では、SMCの current job / job offer は、ANZSCO 1–3なら $35.00/hr以上、ANZSCO 4–5なら $52.50/hr以上 が必要です。
b. NZ国内の skilled work experience
SMCでは、ポイント算定上の skilled work experience として認められるのは、ニュージーランド国内での職務経験のみです。したがって、海外での職歴は対象になりません。
また、3ポイントを認めてもらう場合は、例えば「直近60か月以内に36か月以上」のように、一定の期間内で経験を積んでいる必要があります。さらに、その職歴が本当に “skilled” と評価される必要があります。単にフルタイムで働いていた、ビザがあった、職名がそれらしい、というだけでは足りません。
なお、資格が必要なskilled work experienceでポイントを主張する場合、その registrationやlicence を取得後の work experience しか使えない点も重要です。
Skilled Employment
現在の雇用または job offer は、INZから認定された雇用主(Accredited Employer) からのものである必要があります。
雇用は full-time、つまり週30時間以上で、原則として permanent または12か月以上の fixed-term、または6か月以上継続する契約である必要があります。
なお、職名(Job title)だけでは判断されず、INZは実際の職務内容(Job description)を見て、ANZSCO上の職種とその内容が、実質的に一致(substantial match) するかを確認します。また、その職種に通常必要とされる資格・経験を本人が有しているか(suitably qualified)どうかも見られます。
また、INZは employment agreement の内容だけでなく、実際の業務内容についても確認する場合があります。申請内容によっては、組織図(organisation chart)、給与記録(payslip)、IRD records、bank statements、雇用主への照会などが行われることもしばしばあります。
Registration/Licence
職種によっては、NZで働くために registration が必要です。この場合、full registration が求められるケースが多く、いわゆる暫定資格(provisional / limited licence)のみでは要件を満たさない場合があります。
一方で、資格そのものによりポイント取得が認められる職業資格もあります。それらは、INZの該当リスト上で認められる 登録資格(occupational registration) である必要があります。https://www.immigration.govt.nz/live/resident-visas-to-live-in-new-zealand/skilled-residence-pathways-in-new-zealand/skilled-migrant-category-pathway-to-residence/claiming-skilled-resident-points-from-occupational-registration/
SMC Interim Visa
SMC申請中にワークビザなどの一時ビザ(Temporary class visa)が切れる場合で、新しい一時ビザを申請していなければ、SMC暫定ビザ(SMC Interim Visa )が発行される可能性があります。
ただし、INZは、SMC申請中に現在のビザが切れそうなら、別途、ワークビザやビジタービザなどの一時ビザを申請しておくことを推奨しています。interim visa では条件面での柔軟性が低く、もしSMCが却下された場合のリスクも大きいためです。
最近の変更点・補足
2026年8月後半から、SMCにさらに変更が入る予定です。INZは、Trades and Technician pathway、Red / Amber list、賃金設定の簡素化、資格要件の明確化、英語テスト有効期間の一部延長、会計士の occupational registration 追加などを発表しています。
特に重要なのは、2026年8月以降、一定の場合に「申請時点でさらに高い賃金に上がっていなければならない」という要件が緩和され、必要なNZ職歴期間中に同じ median wage rate を維持すればよい方向になる点です。
まとめ
SMC(技能移民カテゴリー)の6ポイント制は、以前の制度よりシンプルになったと言われていますが、実際には賃金、職務内容、職歴、資格、雇用条件など、細かな制度要件があります。特に、「年収が高いから大丈夫」「managerだからskilled」「NZで働いていたから ポイントが取れる」と考えていたものの、実際にはINZの要件を満たしていなかった、というケースは少なくありません。
また、2026年後半以降も制度変更が予定されており、今後さらに実務上の注意点が変わる可能性があります。
SMC申請を検討されている場合は、早い段階で、現在の employment や将来のキャリアプランが residency pathway に適合しているか確認することをおすすめします。
本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、法的助言を構成するものではありません。個別の事情によって適用関係は異なるため、投資または移民に関する判断を行う前に、必ずニュージーランドの有資格弁護士へご相談ください。
ご相談は、shimpeisato@parryfield.com / immigration@parryfield.com または 03 348 8480 にお問い合わせください。

